真名井の清水に向かう時は気がつかなかったのだが、途中に小さな神社があったので帰りに寄ってみた。
この地方なのかこの出雲の地域のなのか、この辺の神社の様式はちょっと特徴があるよね。

出雲大社摂社
神魂伊能知奴志神社(命主社)
かみむすびいのちぬしのやしろ(いのちぬしのやしろ)
御祭神:神皇産霊神(かみむすびのかみ)
由緒:神皇産霊神は天地万物の根本となられ、大国主大神が危難に遭われた際には常にお護りされ国造りの大業を助成せられた神です。元旦の朝には出雲大社の大御祭に引続き國造以下神職参向の許、厳かに祭典が斎行されます。
祭日:一月一日、十一月七日
神社看板より

『古事記』では神産巣日神と記されていて、神産巣日御祖命とも言い、『出雲国風土記』では神魂命と記されている。
「神皇産霊神」は『日本書紀』に記載される書き方(神皇産霊尊)なので、この看板では『日本書紀』系なのでしょうかね?(また書き方色々だし…(´-`;)
『古事記』では天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ、あまのみなかぬしのかみ)、高御産巣日神(たかみむすびのかみ、たかみむすひのかみ)と合わせ
造化3神(物事の出来始めを司る3柱の神)
として冒頭に記される。
神皇産霊尊は高天原に深いかかわりを持つ高御産巣日神に対置される神であり、出雲を中心とした神話世界の守護神的存在。
★ コトバンク「神皇産霊尊(かんみむすひのみこと)」より
おお〜!宇宙の創造神として3番目に登場するとか社は質素だがスケールめっちゃ大きい神様やった。
看板は「かみむすびのかみ」と現代風に記されているが、色々な解説では「〈むす〉は植物の生成繁茂する力、〈ひ〉は清音で霊力を表す」等とあるので濁らない呼び方(かんみむすひ、かむむすひ)が正しいのかな??
コトバンクによると、『古事記』では食物神(大気津比売神・大気都比売神・大宜都比売神オオゲツヒメノカミ)の屍から蚕・稲種・粟・小豆・大豆・麦を取って種とする生産・生成神であり、意地悪兄貴たちに妬まれ殺されて一度は死んだオオナムチノカミ(後の大国主神)を助けるために蚶貝比売命(キサカヒヒメ:赤貝)と蛤貝比売神(ウムギヒメ:蛤)を派遣して生き返らせたり。
生成と再生の神である御祖神(みおやのかみ)、広く世界の母神でもあるので中々の神格の神様なのだ。
しかし、私の好きなあの”『古事記』をラノベ風に現代語訳してみた”の中では、神格が男神なのか女神なのかイマイチ不明という部分から、ビジュアル的には非常に残念なオネエな神様にされている…。ヒドイ(´д⊂)
そういえば、神社は千木の形状と鰹木の本数を見れば大体の性別が分かるとかあったな。
どれどれ、この「神魂伊能知奴志神社」の千木は…、地面に対し垂直(縦)で鰹木は3本で奇数!…ということは神格としては男神の性格(が強い)ということですがな。 Σ(@。@ノ)ノ
逆に女神様の場合は、この千木が水平(横)で、鰹木は偶数となる。
ラノベ風でオネエなビジュアルになったのはそう言う背景があってなのね…。
※ちなみに男神と女神の両方を祀っている神社では、千木は両方共あり。その場合は前が女神式(横)で、後が男神式(縦)になるそうで、これは日本の総氏神様が天照大神(あまてらすおおみかみ)で女神様だからなのだとか。
しかし、そうは言っても神皇産霊神は造化三神の一柱。
さすがにラノベ風のあの神様ヴィジュアルはやはりちょっと残念だったので、せめて写真であの母性的でありながら男性神の荒々しい性格をも持ち合わすと言う神秘的な雰囲気を表現してみよう…|ω・`)

<樹齢約1000年と言われる椋の巨木と神魂伊能知奴志神社>
※神秘的な感じに加工してみた。現地に水鏡はありません。
そして、この神社には主のような黒猫がいる。


ずい
何者じゃ?
ウォッ!
(びっくりした…)
いえ、怪しい者では。。。
何か貢物はないのか? ほれほれ、早う.゚+.(・∀・)゚+.。
え?(えーと汗)
すみません、係の者でないとちょっと…。
なんじゃ、つまらんのう。

迫力のある長老のような椋の巨木と無愛想に見えて人懐っこい黒猫の主。

物事の出来始めを司る造化三神の一柱でありながら、小さく質素な神社。
今はまだこんな風に寂しい巨木の枝も、そのうち新しく芽吹き、
文字通り命<むすひ>の豊かな緑の季節がやってくるだろう。