今回の松江訪問も新たな発見がいくつかあり、今はそのことを書きたい気分でもあるのだが、そんなことをしていたらますます前回の記憶が薄れてしまう。
今回はばたばたしてお気に入りの月照寺にも行けなかったし。残念。

ここ!
ここもまた行きたかったなぁ、松江城北堀の通りにある武家屋敷の一帯。
それにしてもなんという青空!
そうだった、今回は天候の目まぐるしい変化もあってぶらぶら歩き回る時間も限られていたのだった。
さすがは「弁当忘れても傘忘れるな」と言われるほど雨の多い土地だと実感した今回の訪問。
前回での訪問がいかに運のいい好天候だったことか。
ということで、しばし当船は時間を遡ってご案内するとしましょう。
武家屋敷の通りの突き当たりには小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)にまつわる小さな博物館がある。
★【小泉八雲記念館】
島根県松江市奥谷町322
・営業時間
4月~9月 …8:30~18:30 ※受付締切18:10
10月~3月 …8:30~17:00 ※受付締切16:40
・定休日
なし
・料金
個人 : 大人…300円 小人…150円
団体 : 大人…240円 中学生以下…120円
・交通
JR松江駅からバスで約15分、小泉八雲記念館前下車
・問合せ先
TEL.0852-21-2147
そして、その隣にはかつて八雲が住まいとして利用した旧藩士の屋敷がある。

★【小泉八雲旧居(ヘルン旧居)】
島根県松江市北堀町315
・営業時間
3月~11月 …9:00~16:40
12月~2月 …10:00~16:30
・定休日
年末年始、12/16~12/29、1/1
・料金
個人 : 大人…350円 小人…180円
団体(20名以上) : 大人…280円 小人…140円
※この施設は民間施設で、隣接する小泉八雲記念館は松江市の施設、なので料金は別途になる。
入場の際は必ず玄関内受付にて入場券を購入のこと。
・交通
JR松江駅からバス15分、小泉八雲記念館前下車
・問合せ先
TEL.0852-23-0714

門を潜ると、小さな白砂の前庭と簡素な玄関。

前庭には色華やかな花木はない。

しかし、前庭に面した縁側には竹の花器に季節の花が丁寧に生けられてあり、訪れる人々に歓迎の意を示してくれる。
この時は…ああぁっ!
1月で成人の日で連休だったんだ!そうだ、今回(3月)は3回目の訪問だった!(汗)
12月の訪問の時はヘルン旧居は閉館だったのだ。orz。
あちゃー、八雲立つ第2弾!じゃなくて第3弾!の間違いです…。

前庭右手から玄関に入ると、開け放した部屋が見える。
電灯も点けられているが、昼間は障子からの明かりでも十分だ。
玄関を上がると、調度品もないスッキリした部屋にもまた花が生けられていた。

障子の「鍵」が短いつっかえ棒一本であることにご注目!
簡素というか合理的というか…。
いかに当時の防犯がのどかなものだったか、この家屋の構造から察することができよう。
それにしても、なぁんにもない部屋なのに「わぁ、なんて贅沢なお部屋だろう!」と感嘆する緑の船。
部屋の隅に草花が生けられているだけで、随分と印象が違う。
この生け花について、小泉八雲は著書『知られざる日本の面影』でこう述べている。
夜になるとしばしばそうなのだが、祭りの夜など特に、町の一角の小さな屋台の前にたくさんの人々が押し寄せ、黙ったまま、ひたすら感心して通り過ぎてゆく光景を目にすることがある。
たまたまその中を覗いてみても見えるものといえば、せいぜい草花か、美しい花を咲かせた木から切り取ったばかりの枝を生けた花瓶が、いくつか並んでいるだけである。小さな花展が行われているのだ。もう少し正確にいうなら、生け花の名匠の作品を無料で展示しているのである。
日本人は、野蛮な西洋人がするように、花先だけを乱暴に切り取って、意味のない色の塊を作り上げたりはしない。日本人はそんな無粋なことをするには自然を愛しすぎていると言える。
花の自然な魅力を引き出すには、その配置や生け方、花と葉や茎との関係がどれだけ大切か、十二分にわかっている。だから、自然が作り出したそのままの枝や草花の美しさを選び取るのである。
『新編 日本の面影 』/ ラフカディオ・ハーン「神々の首都 20」より
文庫版:ラフカディオ・ハーン(著)、 Lafcadio Hearn(原著)、池田雅之(翻訳)

紅白の水引が「お正月」だったことを思い出させてくれました。