朝、目覚めると、障子から光がやんわりと部屋を満たしている。
その障子を開けると、まるで計算されていたかのように床の間の花器に光が当たった。

ああ、なんと心惹かれる眺めであろうか。
眠りそのもののような靄を染めている、朝一番の淡く艶やかな色合いが、今、目にしている霞の中へ溶けこんでゆく。はるか湖の縁まで長く伸びている、ほんのり色づいた雲のような長い霞の帯。それはまるで、日本の古い絵巻物から抜け出てきたかのようである。この実物を見たことがなければ、あの絵巻物の風景は、画家が気まぐれで描いただけだと思うにちがいない。
(…略…)
やがて太陽が、その黄金色の縁をのぞかせる。すると、淡い紫色やオパール色などの暖かい色調の細い光線が、水面に射しこみ、木々の梢は火が灯ったように赤く染まる。川向こうの高い木造の建物の正面は、美しい霞を通して、しっとりとした黄金色に変わる。
ラフカディオ・ハーン 新編『日本の面影』(訳:池田雅之)
「神々の国の首都」より

東に見える橋はラフカディオ・ハーンが、来松当初から「一度聞いたら忘れられない」と橋を渡る下駄の音について表現した松江大橋だ。
柏手が鳴り止むと、いよいよ一日の仕事が始まる。下駄のかましい音が、橋の上で段々大きくなっていく。その大橋川の下駄の音は、一度聞いたら忘れることができない。大舞踏会のようで、テンポの速い陽気な音楽に聞こえる。
新編 『日本の面影』 / ラフカディオ ハーン(訳:池田雅之)
当時はまだコンクリートやアスファルトで固められていない木造だったろう橋が鈍い残響を橋の下の川面に轟かせている様を想像してみる。
今では渡る車のエンジン音しか聞こえない橋の上を、朝からにぎやかに行き交う人々の下駄の音を想像していると、こちらまで心がウキウキと沸き立ってくる。

黄色い朝日に黄色い灰皿、その向こうに緑色の冷蔵庫。
なんとなくその色がポップでイイ感じ♪

おおー、朝の宍道湖。
目の前は宍道湖大橋。
この橋の向こうに島根県立美術館がある。
そこは夕陽を眺めるのによいスポットがあり、この美術館は閉館時間が日の入りに合わせて設定されている。
そう言えばちょうど「版画の国日本 没後10年 平塚運一展」の企画を知って興味あったんだが、この時はまだ12月だったからなぁ。
開催期間: 2007年1月2日(火)~2月26日(月) *あ、まだやってる!
★【松江市ガイド】
しかしこの暖冬のおかげか、こんな穏やかな色を拝めるなんてラッキーだ。
曇天の下の宍道湖はそれこそ空の色を映したように灰色に見えるからだ。
また、天候が一度荒れてくるとこの湖は大きな櫂でかき混ぜたように湖底の泥を巻き上げ、空の灰色と土色が混ざったどんよりした色の湖になる。
もっとも、そういった環境もあってこの湖には豊富な魚介類が育つのかもしれない。
それでも、めったに訪れることがない土地で天候に恵まれるのはやはりうれしいものだ。

きっと、乗船客に日頃から行いのよい御仁がいるお陰だろう♪
緑の船は…別名雨の船とも言われているので。。。