普通よりお得プランでの宿泊だったので、お料理は松>竹>梅に例えると「梅コース」だったと思われます。
が、ひとつひとつは小さくとも、次々とやってくるお料理に最後は「もう、お腹いっぱい~!」とごろりと畳にひっくり返りました。

普段我々はこういった温泉旅館で出てくる料理に、とりたててこれが「日本食だ」とか「日本料理だ」などと意識して食べることはない。
でもふと視点を変えて見てみると…。

器の色や柄、盛り付けなどがその料理を引き立てるためにちゃんと選んでそこにあるということに気がつくと思う。

季節に合わせてメニューや彩りも工夫することが求められる「日本料理」は限られた予算内で料理人が技術と芸術の極みを追究している分野でもあるといえる。
会席料理では料理を作るヒトだけではなく、その料理をお客に提供する仲居さんの接客技術も含めて。
緑の船は時々思うのだが、女性の施す化粧やこういった料理は一種の「絵画」なんじゃないかって思う。
もちろん全ての絵画が「キレイ」だったり「上品」だったりするわけじゃないが、それぞれ一瞬で見る者を何かしら感動させる技術を持っていたりして、その技術に感嘆するのだ。
料理にはそこに「おいしい!」という感動も要求するから、食べるだけの船ってのはまったく欲張りな生き物だ。

この時期の日本海の幸といえば蟹…だが、今回はお得なプランのため割愛いたしておりますw
というか、乗船客員の一人が魚介類の特に甲殻類が苦手だったため、あらかじめ旅館に「甲殻類が苦手で、蟹、海老、ホタテなど貝類、特に牡蠣は絶対ダメな者が一人いるのでよろしくお願いします」と伝えてあったのだと説明を付け加えておきましょう。
…って、海老が出てきてますがな!(あんなに言ったのにぃ~( ノД`)!)
海老が苦手で、普段はカップヌードルの乾燥小海老すらひとつひとつ摘み出して食べるという乗船客員Kをチラッと伺うと、なんとこの海老の刺身をペロッと食べてしまっていた!
「あれ!? 海老は苦手じゃなかったっけ?」
「ん? ああ、そう言えばw
つい食べちゃってたよ。
だっておいしそうだったんだもん♪」
おお、板前泣かせなことを言ってくれるねぇ。

宍道湖ではウナギも名産らしい。
これはあまり食べたことがないウナギのスープというのか煮物?
ウナギと言えば蒲焼しか思いつかないが、スープに入ったウナギも中々うまうま♪

クリスマスだったからか?wエリンギと和牛のシチューグラタン。
「ぅんまっ!」
「この器、ステキね~!」
料理が「絵画」なら、器は「額縁」といったところ。

(ああ、またもろに海老のてんぷらが…)
なんて密かに思いつつ食べていたら、他所を向いている隙に完食したはずの緑の船の器にポヒッとこの海老のてんぷらが再現してた…。
「これはあげる~♪」
「あ、ありがとう」
好きだからうれしいのだが、さすがにこの辺になるともうお腹が…w
ところでこのてんぷら、海外の「日本食レストラン」でも定番メニューとしてよく出されているらしいのだが、ある日本人が海外で「日本食レストラン」と看板にあった店に入りてんぷらを頼んだ時の体験でおもしろいものがあった。
具は現地のものを使用しているのはともかく、なみなみと入った「刺身醤油」が一緒に付いて出てきたそうだ。
その日本人は普通に「え??」と不思議に思い「どうして醤油なの?」と店員に聞くと、
「これがてんぷらの一番うまい食べ方だ」(えへん)
店員(当然日本人じゃないよな)は自信満々に答えたという…。
多分「天つゆ」を付けるってことは知っていても、「天つゆ」が何であるかは知らないんだろうなぁ。(知らないのに自信満々なのは…ナゼなんだ?)
刺身醤油にてんぷらを浸して食べるのを想像して「…ううっ」とムネヤケを起こしそうになってしまったw
このあとサラダ、お新香、蟹身の入ったの釜飯(あ、また蟹が…)、アサリの味噌汁、デザートに果物と続く。
「ぎゃぼー、もう満腹!食べられません!」ヽ( ̄д ̄;)ノ
鉄の胃袋もすっかり日和ってしまったことよ…
ところで、蟹や海老が少ないのは事前にお願いしていたせいだと納得してたら、食事が終わってから
「すみません、甲殻類が苦手な方がいるとご注文があったのにうっかり出してしまって…」と仲居さんが謝りに。
…配慮してもらってたわけじゃなかったのかよ…_| ̄|○。
そうだよな、こんなに安いプランだもんな…。
当の本人は「おいしかったからいいよ~♪」と気にしなかったから良かったんだが。
別室でお食事をのんびり頂いている間に、お部屋には寝床が整えられていた。
枕もとには冷たい氷水の入ったポットと淡い水色のレトロなグラスが。

そうそう、こういう心配りがうれしいよねぇ。