その昔、奈良はカフェ不毛の地と呼ばれていた(らしい)。
23年前、その土地で当時使われず荒れ放題になっていた建物を見て「カフェができたら楽しいだろうなぁ」と思った女性がいた。
当時「カフェ」なんて言葉がまだまだ一般的でなかった時代である。
彼女はカフェで働いた経験も何の予備知識もなかったが、わずか1ヶ月でこの店をオープンする。
今では奈良だけでなく、全国からカフェ好きが集まる名店のひとつと言われている。
そのカフェの名は
くるみの木 一条店

最近ではどこにもカフェが増えていてこじゃれたカフェそのものも珍しくなくなったと思う。
ので、「なぜ都会のきらきらしたいろいろなタイプのカフェを満喫している人々が地方のカフェにまで足を運ぶやら?」と不思議な気持ちだった。
でも、実際に足を店に踏み入れた時その理由がわかった気がした。
ここには、居心地のいい「本物」がいっぱいある。
うう、言葉にするのがもどかしい。
もちろん家具がブランドものとか高い食器を使ってるとかそういう意味ではなくて。
ええーい、これで分かって~!とう!

カフェに一流も二流もないような気がするけど、運ばれてきたスイーツやお茶を眺めているだけで感じる至福はなんなんだ!?
その上一口食べた時の至福もどうなんだ!!
一口食べては にまー。
テーブル触っては にまー。
店内を眺めては にまー。
ここに行きたいと思ったのはとある雑誌の特集を読んでから。
![]() | 楽園人 2008年 01月号 [雑誌] (2007/11/24) 不明 *詳細を見る |
雑誌「楽園人」の2007年11月号にあった「珈琲快楽主義」の特集で、奈良市のカフェくるみの木が紹介されていた。
ステキなカフェはいろいろあったのだけど、その中でも特に(このカフェに行ってみたいたいなぁ!)と思ったのが今回の「ならまち日和」の旅に出るきっかけだったりする。
「私は両親が共働きだったんで、祖母に育てられましたが、母と離れすぎないようにと交換日記をつけさせていたんです。
(略)
その日記は今でもあるんですが、そのなかに、全くこの店の建物のような雰囲気の絵が描いてあって、
『大人になったらおじいさんもおばあさんも子供たちも来た人がみんな喜ぶ店、"くるみの木″。それをやりたい。』
って書いてあったんです」
本人の記憶からも忘れられていた時期もあったが、当時の少女が思い描いていた夢は、10年以上の時を経て見事に現実のものとなったのだ。
たった一人でのスタート。
周りの「どうせ失敗する」という冷たい目をはねのけるためにも、朝早くから深夜まで休む間もなく働き続けた。
ときには悲しくもないのに、疲れすぎたために仕事の後に訳もなく涙が流れたこともあったという。
だが、そのかいあってか、数年後には常連さんも増え、店も軌道に乗りはじめてきた。
すると、周囲の人々も徐々に「がんばってるね」と声をかけてくれるなど、理解を示しはじめてくれるようになった。
「想いが強いですからね。
正直やめたいと思ったことは一度や二度ではありませんがいろんなことを励みにして、築いてきましたよ」

場所は「ならまち」とは違って、比較的新しくできたと思われるいたって普通の住宅街にある。
幹線道路と線路沿いにあり、知らなければ気がつかず入ろうとも思わなかったかもしれない。
でも、その雑誌に載っていたそのエピソードはものすごく印象的だった。
「どんどん行くんです。
そして行けることをやっているんです。
いつかこうしたいって思っているといつか行けるんですね。
願うことです」
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★【カフェくるみの木 一条店】
○場所:奈良市法蓮町567-1
○営業時間
11:30~17:30(月~木)
11:30~21:00(金土日)
○定休日
第3水曜日
奈良にはくるみの木を筆頭にステキなカフェが増殖中で旅行者にもうれしい限り。
ただひとつ、気をつけていなければならないことがある。
営業時間が11:30から…。
営業時間が11:30から…。
営業時間が11:30から…。
!(;゚д゚)つ>>モーニングがねぇーっ!?>>なんでやねん!