航海記 ♪歌いながら行くがいい♪
私の船は、時々歌いながら旅に出る。
DATE: 2007/12/29(土)   CATEGORY: 旅情
ならまち日和 19 なつかしい色

初めて訪れたのに、なつかしいと思うのはナゼだろう?




ならまちセピア1





私の田舎はほんとうに田舎だけれども、建築物を眺めて「なつかしい」と感じる建物はほとんどないんじゃないのか…と思う。
田舎ゆえに、小さいよりは大きいもの、古いものよりは新しくピカピカなもの、まとまった資金が手に入ればこつこつ改修するよりもぶっ壊して真新しいものを建てた方がいい、そんな流れで出来上がった風景(消えていった風景ともいう)を見かけては哀しいほど切なくなる。

最近私の田舎は道路建設ラッシュらしく、道路はあるけどそのすぐそばに昔あった山をざっくりと削ってもう一本道路を作ったりしている。
昔むかし、人手でこつこつ掘って繋いだトンネルがきれいさっぱりなくなっていたときは複雑な気分だった。
昔のトンネルだけに道幅が狭く、天井も低いから大きく広げようとしたらしい。
でもその山は小山程度だったので工事するとその天井が崩れそうだ→だったらいっそ山ごと削っちゃえばいいんじゃね?となったらしい。
その方が工事も楽だし、道も思いっきり広くできるしと。

地元の人々にとってそれは安全で便利になって(車で通るときに)よかったといえる(らしい)。

でも、私はものすごく複雑だった。
なぜならそのトンネルのすぐ脇には同じような理由で小山を迂回する形で作られた大きめな道路がすでにあったし、またほんの数百メートルという距離を厭わなければ別ルートで田んぼの中にこれまた新しく作られた広い道があったからだ。

そのことを言うと「トンネルが崩れたら大変だから」と答えが返ってきた。
でも、そのトンネルは掘られてからこのかた何十年経っていたのか知らないけれど、ずっと崩れずにあったわけで…というのは言えなかった>地元を離れた私。

同じような理由で、また別の道路のそばの山を削ってさらに大きな道路を作って…。
私から見ればほんの数百メートルの差だったりするんだが。
確かに歩いて移動すると思えば大きな距離かもだけど、地元ではほとんど車で移動するのがデフォ。
しかも、その移動距離はせいぜい最大で車で3、40分圏内だったりする。
彼らに言わせると「車で15分移動する」というのは「大変な労力だ」という感じらしい。

実家に帰省するたびにどんどん道路が増えて広がっていくんだけど、確かに便利だと思うけど、最近の様子は外側から見ている私にとって「どこまで山を削ったらその道路建設は止まるんだ?」という不安の方が強い。
田舎には田舎の要望があってそれも分かるんだけど、そこにあるのが「便利さ」だけに見えてこれから何十年後にいったいどんな風景が残るのか…と思わずにいられない。





ならまちセピア2






ならまちセピア




もしかして、こんなならまちの風景をなつかしいと感じるのは、どんどん壊されてゆく地元の風景が消えていなければこんな風だったかもしれない…という意味で「なつかしい」のかもしれない。




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