あの、主様、私そろそろ行きますね。
命主社の主様としばし戯れた後、お別れのご挨拶をする。

(あ、
しょんぼりしちゃった…)
ええ、でもまた来ますから。
はい。
主様もお元気で。
人懐っこい黒猫の主様に別れを告げて来た道を戻る。
帰りの途中「出雲教」という神社に寄り、御朱印をいただいた。
御朱印作法と言うか当たり前と言えばそうなのだが、社務所の前に「御朱印は神社に参拝した後にお出ししています」と貼り紙があった。
わざわざ貼り紙をする程のことだろうか?と思ったが、そう、私も御朱印を集め始めた最初の頃は御朱印とスタンプラリーの違いもよく分かっていない非常識人だった。御朱印帳を持っていない時に、滅多に来れない神社の御朱印が欲しくて「手帳に書いてもらうことは可能だろうか?」などと聞いて呆れられたことがある。
これは自分ではないのだが、とある神社で並んで御朱印帳の記帳待ちをしている時に、前に並んでいた方(結構なご年配のご婦人)が何やら宮司さんに説教をされていた。
どうやらご婦人の御朱印帳には神社でいただく御朱印に混ざって、よく道の駅などにある様な記念スタンプも押していた様で、「こんな事は今後は絶対にしてはいけませんよ」コラッ(`・o・´)۶ と割と強めにたしなめられていた。
ご婦人も「すみませんでした、気をつけます」と小さくなっていたが、後ろにいた私も(知らなければ自分もきっと同じことをしていただろう…(´Д`lll)汗)と小さくなった。。。
当たり前かもしれませんが、知らなければついついやってしまいそう…。
改めて自戒を込めて。
○御朱印は神社の神様にご挨拶した後にいただきましょう。
○そして間違ってもスタンプラリーの様に扱わない様にしましょう。
(御朱印帳は死んだ時に棺桶に一緒に入れて持って行くもので、お守りと同じだそうです)
参拝した神社の敷地の奥には、小さな池の小島に小さな神社があった。
小島に渡るには敷地内をぐるりと回って別の門をくぐって行く。
(なんでわざわざ門が違うのだろう?)

あ、空気が違う。…と思った。

何がどうと言われると表現に困るが、ここに入った瞬間に感じたのが(ここの空気は若いな〜!)だった。
もちろん私よりも神社の歴史の方が長いので、これはきっとその前に訪れた神社と比較してそう感じたのかもしれないなと思う。
社が新しいと言う事ではなく。
ここの場所はなんと言うか、…まだ瑞々しく力が漲っている、そんな印象だった。
正面に3つの社が並んでいて、それぞれはそう大きくはない。
右から
○荒神社(こうじんじゃ)
御祭神:三宝荒神(さんぽうこうじん)
○天穂日命社(あめのほひのみことしゃ)
御祭神:天穂日命
○稲荷社(いなりしゃ)
御祭神:宇迦之御霊神(うかのみたまのかみ)

<三宝荒神>
激しく祟たたりやすい性格を持つところから、荒神と呼ばれました。そして不浄をきらうことから、火の神に当てられ、竈の神様とされました。竈の神様となったのは、陰陽道や神仏習合説が影響しているようです。
仏教的には、仏法僧の三宝を守る神様であり、三宝を大切にする人や、法華の修行者を守護すると言われます。
★【「荒神様」>優しい仏教入門】より

<左:稲荷社>
”うかのみたまのかみ”と入力すると”稲魂の神”といの一番に漢字変換されるし、荒神様は竃の神様だし、日本人にとって生命力の源!って言うくらい大事な場所なのではなかろうか。
○『古事記』では宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)
○『日本書紀』では倉稲魂命(うかのみたまのみこと)
あら、(うかのみたまのかみ)は『古事記』表記なのね??
※(あめのほひのみこと)もまた色々と書き方が違うのよ。
○『古事記』では天之菩卑能命
○『日本書紀』では天穂日命
他、天菩比神とも書く。
昔は音が「あめのほひのみこと」であればきっと無問題だったと言う事だったのかしら。
現代風には『日本書紀』式の漢字なのは、音と意味を結びつけて漢字を選んでいるからなのかもですね。
とは言え、『日本書紀』が完成した養老4年(720年)からちょうど令和2年(2020年)で1,300年ですから。もうそれを現代風と呼んでいいものかどうかと言う…(=∀=)。
そうやって守ってきたお米は今でも美味しくいただくべく、日本の農家さんたちは日々研鑽しております。
最近のお米は各地のブランド化も相まって本当にそれぞれ美味しいと思うの。
きっとこの3社の神様たちも食べたらびっくりするでしょう。
「なにこのお米!?今お米こんなに美味しくなってるの!?」
Σ(゚д゚;)(*´v`) ウマー (*゚Q゚*)!
…などと嬉しい戸惑いを感じるであろうに違いないと妄想中。
いえいえ、それも3社の神様のおかげです。
いつもお守りいただきありがとうございます。と改めて感謝。
<アメノホヒ>日本神話の神様
アメノ⇒天の。天津神につく苗字みたいなもの。
ホ⇒秀・穂・秀等の意味があるとされる。特に優れた
ヒ⇒日・火を意味する。
アメノホヒは『生命力が火のように燃え盛る優れた稲穂』という意味。ホヒ(穂霊)は『農耕や稲穂の神様』とされる。
★【『古事記』をラノベ風って言うか現代語訳にしてみた】より参照
今更ながら、参道に入って感じた印象がこの3社の神様の性格と一致していて驚いたわw
肝心の真ん中のお社(天穂日命社)の近景の写真がないが、参道からの遠景でもそのパワーを感じていただけるのではないか。(と誤魔化しておくw)
真名井の清水に向かう時は気がつかなかったのだが、途中に小さな神社があったので帰りに寄ってみた。
この地方なのかこの出雲の地域のなのか、この辺の神社の様式はちょっと特徴があるよね。

出雲大社摂社
神魂伊能知奴志神社(命主社)
かみむすびいのちぬしのやしろ(いのちぬしのやしろ)
御祭神:神皇産霊神(かみむすびのかみ)
由緒:神皇産霊神は天地万物の根本となられ、大国主大神が危難に遭われた際には常にお護りされ国造りの大業を助成せられた神です。元旦の朝には出雲大社の大御祭に引続き國造以下神職参向の許、厳かに祭典が斎行されます。
祭日:一月一日、十一月七日
神社看板より

『古事記』では神産巣日神と記されていて、神産巣日御祖命とも言い、『出雲国風土記』では神魂命と記されている。
「神皇産霊神」は『日本書紀』に記載される書き方(神皇産霊尊)なので、この看板では『日本書紀』系なのでしょうかね?(また書き方色々だし…(´-`;)
『古事記』では天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ、あまのみなかぬしのかみ)、高御産巣日神(たかみむすびのかみ、たかみむすひのかみ)と合わせ
造化3神(物事の出来始めを司る3柱の神)
として冒頭に記される。
神皇産霊尊は高天原に深いかかわりを持つ高御産巣日神に対置される神であり、出雲を中心とした神話世界の守護神的存在。
★ コトバンク「神皇産霊尊(かんみむすひのみこと)」より
おお〜!宇宙の創造神として3番目に登場するとか社は質素だがスケールめっちゃ大きい神様やった。
看板は「かみむすびのかみ」と現代風に記されているが、色々な解説では「〈むす〉は植物の生成繁茂する力、〈ひ〉は清音で霊力を表す」等とあるので濁らない呼び方(かんみむすひ、かむむすひ)が正しいのかな??
コトバンクによると、『古事記』では食物神(大気津比売神・大気都比売神・大宜都比売神オオゲツヒメノカミ)の屍から蚕・稲種・粟・小豆・大豆・麦を取って種とする生産・生成神であり、意地悪兄貴たちに妬まれ殺されて一度は死んだオオナムチノカミ(後の大国主神)を助けるために蚶貝比売命(キサカヒヒメ:赤貝)と蛤貝比売神(ウムギヒメ:蛤)を派遣して生き返らせたり。
生成と再生の神である御祖神(みおやのかみ)、広く世界の母神でもあるので中々の神格の神様なのだ。
しかし、私の好きなあの”『古事記』をラノベ風に現代語訳してみた”の中では、神格が男神なのか女神なのかイマイチ不明という部分から、ビジュアル的には非常に残念なオネエな神様にされている…。ヒドイ(´д⊂)
そういえば、神社は千木の形状と鰹木の本数を見れば大体の性別が分かるとかあったな。
どれどれ、この「神魂伊能知奴志神社」の千木は…、地面に対し垂直(縦)で鰹木は3本で奇数!…ということは神格としては男神の性格(が強い)ということですがな。 Σ(@。@ノ)ノ
逆に女神様の場合は、この千木が水平(横)で、鰹木は偶数となる。
ラノベ風でオネエなビジュアルになったのはそう言う背景があってなのね…。
※ちなみに男神と女神の両方を祀っている神社では、千木は両方共あり。その場合は前が女神式(横)で、後が男神式(縦)になるそうで、これは日本の総氏神様が天照大神(あまてらすおおみかみ)で女神様だからなのだとか。
しかし、そうは言っても神皇産霊神は造化三神の一柱。
さすがにラノベ風のあの神様ヴィジュアルはやはりちょっと残念だったので、せめて写真であの母性的でありながら男性神の荒々しい性格をも持ち合わすと言う神秘的な雰囲気を表現してみよう…|ω・`)

<樹齢約1000年と言われる椋の巨木と神魂伊能知奴志神社>
※神秘的な感じに加工してみた。現地に水鏡はありません。
そして、この神社には主のような黒猫がいる。


ずい
何者じゃ?
ウォッ!
(びっくりした…)
いえ、怪しい者では。。。
何か貢物はないのか? ほれほれ、早う.゚+.(・∀・)゚+.。
え?(えーと汗)
すみません、係の者でないとちょっと…。
なんじゃ、つまらんのう。

迫力のある長老のような椋の巨木と無愛想に見えて人懐っこい黒猫の主。

物事の出来始めを司る造化三神の一柱でありながら、小さく質素な神社。
今はまだこんな風に寂しい巨木の枝も、そのうち新しく芽吹き、
文字通り命<むすひ>の豊かな緑の季節がやってくるだろう。