はじめ、その店の前を素通りしてしまった。
しばらくして「んん?」と引き返す。
緑の船好みの建築物!
でもどうしてこんなトコロにこのお店が…??

このいい感じに時間を感じさせる店舗建築は、目の前を片道3車線、中央分離帯を挟んで計6車線の上にさらに高速道路が乗っかっているような大きな道の真ん前に建っていた。
周囲には事務所などの雑居ビルやガソリンスタンド、住宅といっても近代的な高層マンション、店舗などは鉄筋コンクリートなビルの中に入っているのがほとんどでこのような独立型木造建築は見当たらない。
少し離れた場所に、呉服屋がポツン、ポツンとあったがやはりビルの一階に入ってあったり、鉄筋コンクリートな建物に看板があるような形態だ。
昔はこの辺りに呉服街でもあったのかな。
開発が進んで、木造建築はどんどん取り壊されていき、ビルが建設され、今現在残っているのがこのお店だけに?
周囲のほとんどがビジネス街的にビル化している中、この木造建築は明らかに浮いていた。
いや、むしろ「沈んでいた」というべきか。
街中のビルの合間には木造建築はそれなりにあり、それ自体は珍しくはない。
でもこの建物には、「こんなところにそんなものがあるはずがない」という意識が働いて、目の前にあるのに気がつかない、そんな雰囲気を漂わせている妙な佇まいがあった。
建物にも気質というやつがあるのかもしれない。