航海記 ♪歌いながら行くがいい♪
私の船は、時々歌いながら旅に出る。
松江旅情 32 小泉八雲旧居 ③一幅の絵、一篇の詩

南の縁側からは北へ向かって三つの部屋が襖で繋がっている。


旧居南から北庭



開け放たれた部屋からそれぞれに南の庭、西の庭、北の庭、が望めるようになっている。
この庭こそが、ヘルン先生こと小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)を魅了した庭だ。

この屋敷に来る以前は、ヘルン先生は川のそばの「可愛らしい鳥籠のような」2階建て住居に住んでいて、日々宍道湖の夕景や大橋川の眺め、山に雲の棚引く霞みがかった幻想的な風景に飽きることがないと綴っていた。
そこからこの松江城北堀の屋敷に移り住んだのは、本格的に暑い夏の季節を目前にセツ夫人と結婚してそれまでの家が手狭になったことと、かねてから「庭のある武家屋敷に住んでみたい~!」という願望があり、それをこの土地で世話になり友人となった西田千太郎氏(*)に伝えたところ、たまたま空家になっていたこの屋敷を借りられるよう持ち主であった根岸干夫氏に取り継いでもらえたからだった。
*西田氏はへるん先生が赴任してきた中学校で英語を受け持っていた先生。


西田は実に親切にしてくれる。西田はとにかく親切な人だ。自分にできることはどんなこともしてくれ、それでいていつも、もっとお手伝いできることがあればいいのですがと残念がっている。

『新編 日本の面影』ラフカディオ・ハーン…「英語教師の日記から」第2章より




明治24年(1891年)6月22日、ヘルン先生はセツ夫人、女中、子猫とともにわずかの家具を携えて、大橋川そばの鳥籠のような家からこの屋敷に引っ越してくる。




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